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AI画像生成をコーポレートサイトの品質に載せる
設計書書き方

生成AIで作った画像をコーポレートサイトに使う。その品質を安定させる鍵は、プロンプトの巧拙ではなく設計書にあります。弊社はサイトのヒーロー画像を確定するまでに、10枚単位の候補生成を9ラウンド、100枚近くを検討しました。その過程で設計書の書式は毎回更新され、最終的に「これを固定すれば品質が揺れない」という4つの要素に収束しました。本記事はその実践記録です。

画像の設計とは、フレームと構図線を先に決めること

要素1: 表示仕様から構図を逆算する

Webのヒーロー画像は、生成したままの形では表示されません。横長で生成した画像は object-fit: cover でクロップされ、モバイルでは中央の縦帯(弊社の実装では1672×941のうち中央529×941相当)だけが見えます。さらに画像の上には見出しの白文字が重なります。

そこで設計書には、絵柄より先に構図の制約を書きます。見せ場は上半分〜中央。下1/3は影や漆黒に落として文字の可読性を確保。構図の核は水平方向の中央に置き、モバイルの縦帯クロップでも主題が残るようにする。この3行を全候補共通の制約として固定してから、「生成後に文字が読めないと気づいて作り直す」往復が消えました。

要素2: 多様性を設計する

10案の候補を出すとき、同じ方向で10回生成しても選定になりません。弊社の設計書では、先に方向のクラスタを定義します。たとえばあるラウンドでは「無機質な整列」「未来の空間」「人の営みの痕跡」「素材の抽象」の4クラスタを立て、10案を3・2・4・1で配分しました。さらに各案には被写体・空間・スケールを明記し、「10案は互いに全く似ないこと」を明文の要件にします。

参考画像を使う場合の規律も決めています。参照するのはトーン・質感・構成の文法だけで、被写体や構図は継承しない。「この画像のようなニュアンスで、別の被写体を」という指定の仕方です。基準となる実例をひとつ見せることは、抽象的な形容詞を並べるより遥かに正確に意図を伝えます。

要素3: 品質の下限を数値と禁止で固定する

品質要件は「高品質で」ではなく、検証可能な形で書きます。弊社の標準は次のとおりです。

  • 生成器のネイティブ最大解像度で生成し、拡大補間をしない
  • ベースラインJPEG・品質90・1.5MB以下
  • 等倍で微細構造が硬く解像していること。ソフトフォーカス・霞・ボケで質感を誤魔化さない
  • 人物・顔・手・判読可能な文字・ロゴ・透かしを入れない

経験上、品質を最も安定させるのは肯定形の指示ではなく不合格条件の列挙です。「AI的な滲み・溶け・不自然な反復は不合格」と書いておくと、生成側エージェントが自らの再生成判断に使えるからです。

要素4: 検品を生成側の仕事にする

設計書の末尾には検品チェックリストを付けます。枚数と命名、寸法・形式・容量、禁止要素の不在、モバイル相当の中央クロップで主題が成立するか。生成を担うエージェントは、このリストで自己検品し、不合格なら自分で再生成してから納品します。実際の運用では、10枚の納品のうち1〜2枚が自己検品で再生成されています。人間のレビューは「どれが好きか」という美的判断だけに絞られました。

反復のなかで書式が育つ

最後に強調したいのは、この4要素が一度に設計されたものではないことです。工業製品に寄りすぎた回、抽象に振りすぎて意味が消えた回、参考の複製になりかけた回。ラウンドごとの失敗が要件として設計書に書き足され、書式そのものが成果物として育ちました。生成AIの活用とは、プロンプトの発明ではなく、こうした運用文書の漸進的な洗練のことだと私たちは考えています。

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