「高級感」をAIに伝える、
ニュアンス言語化の試行錯誤
「もっと高級感を出してください」。人間のデザイナーならこの一言で意図を汲んでくれるかもしれません。しかしAIに対してこの指示は、ほぼ機能しません。弊社サイトの画像制作で「高級感」の言語化に失敗し、修正し、ルールに落とすまでの試行錯誤を、実例とともに共有します。

失敗1: 抽象語をそのまま渡す
最初の失敗は「高級感・洗練・クール」という言葉をそのまま設計書に書いたことです。返ってきたのは、たしかに暗くて艶のある画。しかし意図とは違う。抽象語は受け手のモデルが持つ平均的なイメージに丸められ、こちらの文脈は反映されません。
失敗2: 高級素材への置き換え
次に「素材を上質に」という方針を立て、モチーフを陶器や削り出しの金属に置き換えました。これが二つ目の失敗です。画面の中の概念、たとえば業務フローの図を実物のオブジェとして作り込むと、どれだけ素材を上質にしても玩具のように見えます。出発点の翻訳が間違っていると、仕上げでは取り返せないことを学びました。
効いたのは「概念の表現形式」の指定
転機は、高級感を形容詞ではなく表現形式の選択として指定したことです。画面上の概念は実物化せず、図面・精密な線画・無機質な幾何学の整列として描く。実在の場(展示会など)は奇をてらわず、その場らしい写真を上質に撮る。参考として「これが基準」と言える実例をひとつ示す。この3点に変えてから、出力は一気に意図へ寄りました。
フィードバックはルールに堆積させる
もうひとつ重要なのは、修正のたびに得た学びをその場限りにせず、運用ドキュメントのルールとして書き足していくことです。「概念の実物化は禁止」「比喩の彫刻は使わない」。一度明文化すれば、次の制作からは同じ失敗が構造的に起こりません。AIとの美的なすり合わせは一回の対話ではなく、ルールの漸進的な蓄積として設計するのが近道だと考えています。
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